Interlisp-D
Interlispは1966年にBBN社で開発されたPDP-1用のLISPを祖とする。1972年からPARCとの共同開発となり、1974年にAltoで動作するAltoLispが作られた。1976年、その成果の一つであるInterlisp仮想マシン仕様を元に、PDP-10, VAX, Jerichoなど様々なプラットフォームに移植される。Interlisp-DはDolphinとDorado、すなわちXerox Dマシン用の実装である(ちなみに日本語版はInterlisp-DJ)。
有名なDWIM(Do What I Mean)による支援機能は1968年に導入されたものであるが、Dマシンというグラフィックスとネットワークに優れたプラットフォームを得たことにより、環境と言語が融合し、場所の概念も超えた新しいコンピューティングスタイルを確立した。同時期に開発されていたSmalltalkやViewPointとの間には相互に影響を受けた形跡があるが、正確なことは不明である。--abee (参考「統合化プログラミング環境―Smalltalk-80とInterlisp-D」)
- Interlisp-Dで作られたアプリケーションに複写機などのUI作成を支援するTrilliumというシステムがあるのですが、このデモを見せてもらったとき、たまたまローカルに関数が見つからず、勝手に海の向こうから取ってきたのを見て腰が抜けました。--abee
- すぐに気が付く表面的な類似点としては、オーバラップマルチウィンドウやポップアップメニューなどがあります(しかし操作方法はまったく違う)。また、CLISPの代入が「←」だったりするのもどっちが先なのか気になります。スペリングコレクタはDWIMが先でしょうね。--abee
富士ゼロックス 1121AIW上で動作するInterlisp-DJ。右上にロゴが見える。
Interlisp-Dのバージョンはアルファベット順に音楽にちなんだ名前で呼ばれる。たとえば、Koto, Lylic, Medleyなどである。また、Interlisp-Dという呼称も、Common Lisp対応となり、Dマシン以外のSparcなどに移植されてからはXerox Lispとなった。--abee
1980年代の終わり、Interlisp-DはPARCからEnvosに移管された(SmalltalkにおけるParcPlace Systemsに相当)。Envosは富士ゼロックスに買収され、現在はVenueという会社がMedleyを販売している。--abee
Medleyのアイコン
現在、PARCのGrammar Writer's Workbench for Lexical Functional Grammarというシステムの一部として、Medleyを非商用に限りフリーでダウンロードできる。これには、decalpha, dos, sgi, solaris, solaris21, sunos, linux用のVMが含まれる。古参Interlisperの調査によると、これには、メーラ(Lafite)やワープロ(TEdit)、ドロー(Sketch)などのユーザ環境の他、ブレークパッケージを含む、ほぼすべての開発環境が含まれている模様である。また、これとは別にInterlisp関係のマニュアルはここからダウンロードできる。--abee
- Linux版の場合、ldex lfg.sysoutであっさり起動します(spiralさんの報告による。私はKNOPPIX 3.4で確認)。かっこよすぎます。もうめろめろ。Squeak登場時よりタイムマシン感覚は強烈かも。まだ使い方がほとんど分かりません :-) --abee
- Interlisperのlyuさんが動き始めました。わくわくです。--abee
http://g000001.cddddr.org/ の Medley 関連記事
Googleで見つけたInterlisp-Dに関する言葉。なぜかDWIMをDWINと間違えたものが多い。--abee
Interlisp のあのぶ厚いマニュアル
--- Interlisp Reference Manual, XEROX --- は、
僕たちにとって、一つの憧れだった。
DWIN にしてもエディタにしてもブレーク・パッケージにしても
CLISP にしても、
マニュアルだけを眺めて夢見るものでしかなかった。
そして、その青色の表紙は、
カリフォルニアの青い空そのものなのであった。
-- 萩谷昌己 「LISP の思い出」「LISPの特長、及び応用分野」
http://nicosia.is.s.u-tokyo.ac.jp/pub/essay/hagiya/essay/omoide
http://nicosia.is.s.u-tokyo.ac.jp/pub/essay/hagiya/kaisetsu/lisp
「おまえもその頃から関わっていたのかい?オレはInterlispからInterlisp-D の仕事をしてたよ。あれはたいしたシステムだったね。最高だった。」
-- 井田昌之 「メモ for JavaOne 98 Report」
http://www.sipeb.aoyama.ac.jp/~ida/books/javaone98.html
ぼく個人は、UnixよりLispのほうに興味があって、いまはなきLMI社や
Symbolics社のLispマシン、それとXerox PARCのInterlisp-DのLispマシンなど
にあこがれていました。Interlisp-Dの分厚いマニュアルは研究室にあったの
で、それをむさぼり読んでました。それとSmalltalkやMesaなどXerox系の言語
やそのシステムにあこがれましたね。だって、Unixなんてダサいんだもん。
-- 中村正三郎 「ムック「SEの現場」」
http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/wabijo59.html
当時のおれは、Unixなんかクソだなあと思うタイプでした。当時のおれの中
でOSとしてUnixよりはるかにすごい世界を築いていると認識されていたのは、
LMIやSymbolicsのLispマシン、XeroxのSmalltalkマシンやInterLispマシン、
そしてApollo DOMAIN/AEGISなどでした。
-- 中村正三郎 「コンピュータのきもち」
http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/wabijo63.html
S式を使って,文書を作成しようという試みはもちろんありました。しかし、
それらは消えていきました。私の知る限り,実用になったのはInterLisp-Dに
あったteditと、Interleafぐらいです。
-- 村田真 「Re: LISPとXML」
http://www2.xml.gr.jp/log.html?MLID=xmljunk&N=550
このInterlisp-Dという環境は、プログラミング環境としては快適でした(わたしは1986から5年くらい使いました)。快適なわけはいろいろありますが、そのひとつであるデバック環境もすばらしいものでした。(中略)言葉での説明ではイメージがつかみづらいと思います(とにかく快適だったということです)。
-- 福島竜 「JUnitの勧め(Javaの単体テストについて)」
http://www.mamezou.com/tec/Tips/mameJUnit/mameJUnitSample.htm
履歴機構は、その当時Xeroxにいて現在はSun MicrosysytemsにいるWarren Teitelmanが開発したInterlispのHistoryやDWIN機構にヒントを得て作ったものです。
-- Bill Joy 「UNIX C SHELLフィールドガイド 前書き」落水浩一郎, 大木敦雄 訳
http://www.personal-media.co.jp/book/unix/cshell_intro.html
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