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あなたには患者さん、私にはシェフが三人、...

あなたには患者さん、私にはシェフが三人、待っているの。
トリュフが大好きなのと大っ嫌いなのと、トリュフなんて知らないって人。


『ジョー・ブラックをよろしく』の冒頭のシーン。この物語の主人公で父のビル・パリッシュ氏。その 65 歳の誕生日を祝うべく、自らがオーガナイズする盛大なパーティの準備に奔走する長女・アリソンの、我が家(ニューヨーク郊外の別荘? いずれにせよ大邸宅)の庭で突如始まった“大工事”の目指すところを知り、辟易とする父を皮肉ってのひと言。妹で医師(レジデント)のスーザンが、婚約者で父の片腕でもあるドリューを乗せて邸宅へ向かっているヘリコプターに折り返し搭乗し、父たちと一緒にニューヨークに出勤するが、そのヘリに一緒に乗るか?と水を向けたのを受けた台詞だ。

私、自らの興味のある事象に立ち会うとき、ああ…、人間には正・負の2種類ではなく、ゼロ(ニュートラル)を含めた3種類いるのだなぁとしみじみ and/or ふと思うことが多いが、この実感をうまく表わしていて気に入っているので記録した。やたらと首をつっこむのが好きで、組織の中でも物事を左右する位置に好んで身を置くことが多い性向を持つと、立場の違いや、その対立関係の解消にやっきになって周りが見えなくなることが多い。いや、そうするのが問題解決の基本だし、そうでなければ物事を自分の望む方向へ進めることなどできない。しかし、その溝を埋めることだけに腐心してしまうと、ついつい“無関心”な人たちのことを忘れ、系にさらに複雑かつ深刻なトラブルを引き起こしてしまうことがおうおうにしてある。系においてはたいてい、関心のある人より、無関心の人のほうが数が多いもので、さらに言えば、事の方向性の真の決定権はそういった人たちが握っているものだからだ。“当事者”はそれが全てだと思っている対立関係など、じつは系全体からすれば、ちっちゃな話だったりするのである。

トリュフなんて知らない…という人とは、その台詞をはくときの仕草とコンテキストから、おそらく父(もしくはそれに準ずるままならない人、実際にそういうシェフがいるのかも知れないが、それは置いておいて…)を揶揄した言葉との想像に難くない。しかしながら、この誕生パーティはとりもなおさずその父のためのものであり、それがゆえに、父の(気に入ろうが気に入るまいが、はさておき、とりあえずはその)興味を向けさせるために、アリソンが涙ぐましい努力をする姿を描くサブストーリーは、当初は冒頭のようにコミカルで、じき、文字通り泣けてくる。そして、繰り返すまでもないが、無関心な人がことの成否を決める点での先の例とのアナロジーはたいへん興味深く示唆に富む。なお、紆余曲折あるが(サブストーリーなので、そんなにカットは多くはない(^_^;))、予定調和よろしく最後にその努力は報われるので安心して映画を楽しんでただきたい。--sumim

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